保険豆知識~相互会社とは? その他 2014年10月22日 Tag: [保険豆知識] 保険の資料などを見ていると、会社案内などに「相互会社」という言葉が出てくることがあります。「株式会社」はよく聞くけれど「相互会社」っていったい? ―― 「相互会社」とは? 日本における「相互会社」は保険会社だけに認められている会社の形で、「保険会社とは保険を契約した人達が相互に助けあう(=相互扶助)ための組織である」という考え方に基いて設立されます。 2014年10月現在「相互会社」として存在するのは、日本生命保険相互会社・住友生命保険相互会社・明治安田生命保険相互会社・富国生命保険相互会社・朝日生命保険相互会社の5社。一方で相互会社から株式会社へと移行した会社もあり、近年では第一生命が株式会社へと形態を変えています(2010年4月に移行)。 相互会社の特徴の一つとして、保険契約者が「社員」と位置づけられるという点があります。ただし、ここで言う「社員」とはその会社の構成員でありかつ会社の持ち主という立場で、会社の運営に参加する権利を持ちます。ですから相互会社の「社員」とは、株式会社で言うと「株主」に近いものです。 相互会社と株式会社 会社の形態として現在広く普及している株式会社との違いは何でしょうか? 株式会社では会社の最高意思決定機関は「株主総会」ということになりますが、相互会社の場合はすべての社員による「社員総会」がこれに当たります。しかし、相互会社で言う「社員」とは保険契約者(加入者)のことですから、全員を集めるとなると数百万人、会社によっては一千万人を上回る人数ですので事実上不可能です。そこで実際には、社員の投票によって代表者となる「総代」を選出し、総代が構成する「総代会」が社員総会に代わって意思決定を行うのが一般的です。 株式会社では株主の利益を出来るだけ大きくすることが求められますが、相互会社は保険契約者のための経営が基本路線です。保険会社の場合、株式会社だと契約者だけでなく株主にも利益を還元しなければならないのに対して、相互会社はそのほとんどを契約者に還流できるという点がメリットと言えるでしょう。 しかし相互会社はその性質上、経営方針として安全・安定が重視されるため、株式会社に比べて積極的な成長戦略を取りにくいという面もあります。また、株式会社では株式の発行によって機動的に資金を調達できるのに対し、相互会社の資金は「基金」という形で機関投資家などから募ることになります。この基金は返済しなければならず、その際に利息が必要となってきます。 このように独特の経営形態をとる「相互会社」ですが、現在の国内生命保険会社はほとんどが株式会社となっています。これは、特にバブル経済崩壊後に資金の運用が難しくなってきたこと、少子化による市場の縮小傾向で保険業界の競争が激化したことなどから資本拡充の必要性や経営の自由度がより求められるようになったのが影響しているようです。保険業法の改正により、相互会社から株式会社への移行が法的に整備されたこともそれを後押ししていると考えられます。 PR